約 220,430 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2106.html
ウサギのナミダ 登場人物紹介 遠野貴樹(とおの・たかき) 20歳 大学生 本編の主人公。ティアのオーナー。 コンピューターに詳しく、理系的思考の持ち主。 いつも無愛想で、感情をあまり表に出さない。だが、責任感や正義感は人一倍持ち合わせている。 趣味はコンピュータと模型製作。 以前から武装神姫をやりたいと思っていたが、心に響くような製品は出ていなかった。 ティアと出会い、彼女のオーナーとなることで、武装神姫を始める。 持ち前の分析力と戦術で、頭脳的なバトルをするのが得意。 ティア 貴樹の神姫。もう一人の主人公。 ランドスピナー装備のレッグパーツを使いこなし、変幻自在の地上滑走能力を誇る。 地上戦でのスピードと自在な戦いぶりから、「ハイスピードバニー」と呼ばれる。(マスターの貴樹は納得していない) 素体の姿はバニーガール風。頭にはうさミミがついている。 容姿は可愛らしく、少し幼い印象。時々憂いを帯びた表情が大人びて見える。 性格はおとなしく、素直で、ちょっと引っ込み思案。 バトルでは一生懸命に戦う。 彼女のヘッドは、武装神姫のマスプロダクトモデルにはない。 実は違法にカスタマイズされた神姫である。 もともと、ティアは神姫風俗店の神姫として客を取っていた。 ボディも衣装改造されたもので、過酷な労働を強いられていた。 ある日、彼女の客の一人が、彼女を強奪しようとして店から持ち出す。 しかし、店の従業員から逃げられず、途中でティアを捨ててしまう。 その直後、通りかかった貴樹に助けられ、彼の神姫となる。 大城大介(おおしろ・だいすけ) 22歳 フリーター 虎実のマスター。貴樹の友人(自称)。 大柄で、いつも派手な格好をしている、一見ヤンキー風の青年。 しかし、見かけに寄らず人がよく、面倒見もいい。 女好きなのが玉に瑕。 大型のバイクを乗り回しているが、いつも安全運転を心がけている。 「高校でやんちゃはやめた」というのが本人の弁。 虎実とは、マスターと神姫というより、兄妹とか喧嘩友達とでもいうような仲。 趣味はバイクで、虎実にもバイク型のメカに乗せて、自分のテクニックを教え込んでいる。 虎実(とらみ) 大城の神姫。 ノーマルのティグリース・タイプ。 性格はおおざっぱで、小さいことを気にしない性格。 短気で、すぐ頭に血が上る。 素直になれない一面があり、そこをいつもマスターである大城にからかわれている。 そんな虎実だが、バトルロンドではとても真剣。 「いつか誰も真似出来ないような戦い方をする神姫になりたい」と夢見ている。 武装はファスト・オーガを組み替えた、高速型エアバイク。 自分で背負ったりすることはせず、基本的に武装はエアバイクに搭載し、それを駆使して戦う。 久住菜々子(くずみ・ななこ) 19歳 大学生 イーダタイプ・ミスティのマスター。 容姿端麗で、社交的で明るい性格。笑顔が魅力的で、誰からも好かれるタイプ。 ショートカットで活発な印象。服装もパンツルックなどを好み、活発に見える。 武装神姫歴は長く、すでに五年。現在のミスティの前には、ストラーフ・タイプで同名の神姫を所有していた。 「異邦人(エトランゼ)」の二つ名で呼ばれる、有名な神姫マスター。 その由来は、あちこちのゲームセンターや神姫センター、ホビーショップに出没し、強敵に挑むことから。 しかも強いので、畏怖を込めてこう呼ばれている。 見かけに寄らず、頭脳プレイはあまり得意ではなく、バトルではパワーファイトを好む。 ミスティ 菜々子の神姫。 マニューバトライク型のイーダ・タイプのカスタム機。 脚にストラーフの大型レッグパーツ「サバーカ」を装備し、カスタムされている。 高速で地上を走行しながら、副椀を振り回して相手を倒すパワータイプ。 レッグパーツの瞬発力を生かした戦い方で、通常のイーダタイプとは違う独特の戦闘を行う。 実は、ミスティは昔、ストラーフだった。ある試合で破壊され元の素体では復活できなくなってしまった。 菜々子は、ミスティのコアをイーダ・タイプに移し替え、復活させた。 ストラーフだった頃の記憶はほとんど残っていないが、そのころの戦闘記録を活用し、現在のような戦闘スタイルになった。 実力は、地方のゲームセンターなら、トップクラスの実力者にも勝ち越せるほど。 海藤仁(かいとう・じん) 20歳 大学生、水族館勤務 T県の湾岸にある大きな水族館に勤務するアルバイトのエンジニア。 本業は大学生だが、ほとんど休学状態。 アクアのオーナー。 物腰柔らかな性格で、世話焼き。 仲間内では一番早くに神姫を始めているが、バトルをほとんどしない。 もっぱら、水族館内の彼の仕事を補佐する助手として使っている。 神姫については並々ならぬ知識を持っており、自分ではやらないバトルロンドについても精通している。 貴樹とは高校時代の同級生。 アクア 海藤の神姫。 もとはマーメイド型神姫 イーアネイラ・タイプの製品版。 性格は、物腰柔らかなお姉さん風。 オーナーとの仲はすこぶる良好で、お互いの信頼は他人が見ていてもよくわかるほど。 その姿を見て、海藤の仲間達は神姫を始めたいと思うらしい。 高村優斗(たかむら・ゆうと) 21歳 大学生 「アーンヴァル・クイーン」雪華のマスター。 人当たりがよく、友達も多いが、どこかのチーム所属しない一匹狼の神姫マスター。 秋葉原をホームグラウンドにしている。 バトルロンド セカンドリーグの全国大会では、並みいる強豪を押し退けて、秋葉原大会で優勝し、東東京地区代表となった。 雪華(せつか) 高村の神姫。 アーンヴァル・タイプのカスタム機。 改造はされているが、公式大会のレギュレーションの範囲内。公式大会には積極的に参加している。 次の全国大会では優勝候補と目される。 地方大会では、神姫のメッカ・秋葉原で行われる激戦の東東京大会を勝ち抜き、優勝した。 性格は誇り高く、ストイックで、威厳を持った女王様タイプ。 その強さもあいまって、「女王」「クイーン」という二つ名で呼ばれる。 装備はアーンヴァル・トランシェ2を基本として、腰にブースターを追加。その他、細かい装備が変更されている。 武器は黄金の錫杖がひとつだけ。 ただし、この錫杖は様々なパーツの集合体であり、組み合わせることでいろいろな武装に変化する。 戦闘の状況によって様々に武装を切り替え、柔軟に対応する。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1102.html
違法改造武器 このページは『双子神姫』に出てくる違法改造武器の紹介です。(主に龍悪が作った武器です) 話の進行につれてこのページで武器の細かい紹介をしていきます。 この武器をコラボで使うのは大歓迎ですが、自分の武装神姫達が壊れないよう気をつけてください。 基本的に補足でも言うように神姫達の対神姫侵食度100までですが、オーナーと神姫達の親密度によって変化します。 そこら辺は自由に決めてけっこうです。 補足:『神姫侵食度』についての説明。 神姫侵食度は神姫のプログラムを侵食する数値です。(オリジナルです) 簡単に言ってしまいますと、神姫を壊すプログラムです。 違法改造武器関係は普通の武器より神姫に対して大幅な負担を掛けます。 更に武器のプログラムが神姫とのプログラムに同調しないといけないために、武器のプログラムが神姫のプログラムに侵入します。 そうする事によって神姫のプログラムに余計なプログラムがインストールされる事によって壊れていきます。 ですが、違法改造武器の武装解除すればプログラムがアインストールされ、侵食度が戻ります。 基本的に普通に販売している武装神姫達は侵食度100まで保ってますが、それ以上の数値を超しますと暴走し二度とその神姫は修復不可能になります。 アンジェラス、クリナーレ、ルーナ、パルカは生産元が違うのでノーマル武装神姫達と侵食度が違います。 ○ANGELUS(アンジェラス) 対神姫侵食度:???? ○CRINALE(クリナーレ) 対神姫侵食度:200 ○LUNA(ルーナ) 対神姫侵食度:180 ○PARCA(パルカ) 対神姫侵食度:300 ●メインウェポン 『アルヴォLP4ハンドガン』 系統:短銃・射撃・中 重量:3 攻撃:350 命中/HIT数:200/2 射程:25~180 必要:0 準備:5 硬直:50 スタン:0 ダウン:100 スキル:[反]クイックドロー 神姫侵食度:10 備考:原作とほぼ同じです。 ●サブウェポン プチマスィ~ンズ[TYPE:DOG]』 系統:オプション 重量:5 防御:10 対ダウン:0 対スタン:0 索敵:10 回避:0 機動:0 攻撃:- 命中:0 必要:- スキル:[追]ドッグファイトアサルト 神姫侵食度:25 備考:原作とほぼ同じです。 『プチマスィ~ンズ[TYPE:CAT]』 系統:オプション 重量:5 防御:10 対ダウン:0 対スタン:0 索敵:10 回避:0 機動:0 攻撃:- 命中:0 必要:- スキル:[追]サンドスプラッシュフィーバー 神姫侵食度:25 備考:原作とほぼ同じです。 『カッツバルゲル[中型ミサイル]』 系統:オプション 重量:2 防御:0 対ダウン:0 対スタン:0 索敵:0 回避:0 機動:0 攻撃:- 命中:0 必要:- スキル:[追] ヘルファイア 神姫侵食度:10 備考:原作とほぼ同じです。 『スティレット[小型ミサイル]』 系統:オプション 重量:1 防御:0 対ダウン:0 対スタン:0 索敵:0 回避:0 機動:0 攻撃:- 命中:0 必要:- スキル:[追] ヘルストーム 神姫侵食度:5 備考:原作とほぼ同じです。 『オプション』 系統:オプション 重量:4 防御:0 対ダウン:10 対スタン:10 索敵:10 回避:0 機動:0 攻撃:- 命中:0 必要:- スキル:[追] レーザー・オブ・ネメシス 神姫侵食度:30 備考:原作とほぼ同じです。 ●リアパーツ 『リアウイングAAU7』 重量:4 防御:30 対ダウン:10 対スタン:10 索敵:20 回避:40 機動:40 攻撃:50 命中:10 必要:0 スキル:[攻]エンジェリック・スラッシュ 神姫侵食度:20 備考:ノーマルのリアウイングAAU7のスキル、エンジェリック・スカイと違って違法版は攻撃型のエンジェリック・スラッシュです。 エンジェリック・スラッシュは高速スピードの状態で翼を相手に斬りつける攻撃です。 系統:突撃・中・遠 攻撃:500 命中/HIT数:100/1 射程:100~∞ 必要:0 準備:100 硬直:100 スタン:0 ダウン:200 ●アーマー 『セーラー服(水色・紺色・えんじ色)』 重量:1 防御:50 対ダウン:20 対スタン:20 索敵:0 回避:0 機動:0 攻撃:0 命中:0 必要:- スキル:- 神姫侵食度:5 備考:原作とほぼ同じ。 『プリーツスカート(水色・紺色・えんじ色)』 重量:2 防御:40 対ダウン:25 対スタン:25 索敵:0 回避:0 機動:0 攻撃:0 命中:0 必要:- スキル:- 神姫侵食度:5 備考:原作とほぼ同じ。 ●アクセサリー 『モナーテ・LRSSゴーグル』 系統:アクセサリ 重量:2 防御:0 対ダウン:0 対スタン:0 索敵:60 回避:30 機動:0 攻撃:0 命中:30 必要:- スキル:- 神姫侵食度:10 備考:原作とほぼ同じ ○オリジナル武器(龍悪自作武器)
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2265.html
キズナのキセキ・予告編 武装神姫SSまとめ@wiki presents ゲームセンターで囁かれる噂がある。 そのマスターと神姫は、あちこちのゲームセンターや神姫センターに現れる。 神出鬼没。 不意に現れて、有名プレイヤーや実力者とバトルする。 実力も相当なもので、ファーストリーグのランカーに匹敵するという。 しばらくそのゲーセンでバトルをすると、今度は違う店に現れる。 何かを探していると言うが、その目的は誰も知らない。 マスターは女性で、目を引く美貌の持ち主。 神姫はイーダ型のカスタムタイプ。 二人はいつしか、こう呼ばれるようになった。 放浪の神姫『異邦人(エトランゼ)』 と……。 キズナのキセキ ~ 予告編 ~ 久住菜々子とミスティの前に現れた、最強の、そして宿命の敵。 『狂乱の聖女』 大城「こ、こんなやつに……どうやって……勝つってんだ……」 圧倒的な強さの前に、戦慄する大城。 謎めく神姫はいったい何者なのか? ???「ひどい顔ね」 ついに明かされる菜々子の過去。 「本身を抜く」技を身につけるに至る秘密とは? 菜々子「あんたがわたしの神姫だなんて、絶対に認めない」 彼女に何があったのか。 そして、彼女が放浪し、戦い続ける理由とは? 菜々子「リアルモード起動! モード・ビーストッ!!」 ミスティ「おおおおおおっ!!」 本身を抜いて立ち向かう菜々子とミスティに勝機はあるのか? ティア「あなたは……?」 電脳世界の片隅で、ティアは意外な神姫と邂逅する。 海藤「僕たちで役に立てるなら、お手伝いするよ」 虎実「ほんとに……これでいいのかよ、トオノ!!」 美緒「あなたこそ……あの人の何が分かってるって言うの?」 ランティス「ティア……まさか貴女に背中を任せて戦うことになるとは……ふふふ」 前作「ウサギのナミダ」から、おなじみのキャラクターも総出演! いま再び、すべてのマスターと神姫に問う。 絆とは何か? ???「そんなものは、幻想にすぎない!」 本当の強さとは何か? 遠野「俺なんか強いものか。彼女の方がずっと強い」 神姫はなぜ戦うのか? ミスティ「わたしはあなたを倒す。ナナコのために」 そして。 遠野「君に、『エトランゼ』の本当の戦い方を教えよう」 遠野が菜々子に託す、最強の一手とは!? 「ウサギのナミダ」の著者・トミすけが新たに挑む、衝撃の武装神姫ストーリー! 「キズナのキセキ」 これは、ちょっと気が強い神姫と、理想を追い求めたマスターの、絆の物語。 今秋、投稿開始予定! 遠野「キーワードは、武士道だ」 菜々子・大城「……はあ?」 乞うご期待! Topに戻る>
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2440.html
キズナのキセキ 登場人物紹介 ●久住菜々子 19歳 大学生 本編の主人公。 『異邦人(エトランゼ)』の異名を持つ神姫マスター。 明朗快活な美人。 ●ミスティ 本編のもう一人の主人公。 菜々子の神姫。イーダ型。 ストラーフのレッグパーツを装備して戦う。 ●遠野貴樹 20歳 大学生 『ハイスピードバニー』ティアのマスター。 本編の語り部。菜々子の恋人。 ●ティア 遠野の神姫。ローラーブレードのような装備を駆使するオリジナルのバニーガール型。 本編のもう一人の語り部。 ●大城大介 21歳 フリーター 菜々子の友人。虎実のマスター。 見た目ヤンキー風だが、根はいい奴。 ●虎実 大城の神姫。ティグリース型。 ファスト・オウガを高速機動型に組み替えたエアバイクを駆使する。 ●久住頼子 年齢不詳 主婦 菜々子の祖母。三冬のマスターで、ファーストランカー。 見た目は若い。 ●三冬 頼子の神姫。ハウリン型。 礼儀正しい。 ●桐島あおい 大学生 21歳 かつて菜々子が姉と慕った女性。 凄腕の神姫マスター。 ●マグダレーナ あおいの神姫。謎に包まれている。 ●ルミナス あおいがかつて所有していた神姫。アーンヴァル型のカスタムタイプ。 ●花村耕太郎 『薔薇の刺』の異名を持つ神姫マスター。 ポーラスターの『七星』の一人。 菜々子の過去を知る人物。 ●ローズマリー 花村の神姫。ジルダリア型。 デフォルト装備にこだわる。 ●姐さん M市にあるゲームセンターのアルバイト店員。 桐島あおいの過去を知る人物。 菜々子のチームメイト 遠野がリーダーを務める、武装神姫チーム『アクセル』のメンバー。 菜々子と大城もチームに所属している。 ●八重樫美緒 高校生 17歳 高校二年生。ライトアーマー・シスターズのリーダー格。 遠野と菜々子を尊敬している。 しっかり者。 ●パトリシア 美緒の神姫。ウェルクストラ型のノーマルタイプ。 ●蓼科涼子 高校生 17歳 美緒の同級生。ライトアーマー・シスターズの一人。 自称・遠野の一番弟子。 きまじめな性格。 ●涼姫 涼子の神姫。パーティオ型。 武装手を飛ばし、ワイヤーを使った独特の機動で戦う。 ●園田有希 高校生 17歳 美緒の同級生で、ライトアーマー・シスターズの一人。 自称・菜々子の弟子。 難しいことは考えない、おおざっぱな性格。 ●カイ 有希の神姫。ヴァローナ型。 中古のストラーフ装備を使う。 ●江崎梨々香 高校生 17歳 美緒の同級生で、ライトアーマー・シスターズの一人。 バトルにあまり積極的でない非武装派。 おしゃれ上手で情報通。 ●もなか 梨々香の神姫。ポモック型。 無邪気な性格。梨々香と一緒におしゃれを楽しんでいる。 ●安藤智哉 高校生 17歳 美緒の同級生で、恋人。 顔よし、性格よしの人気者。最近武装神姫をはじめた。 ●オルフェ 安藤の神姫。ノーマルのアルトレーネ型。 今は自分の戦い方を模索中。 Topに戻る>
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2832.html
ぶそしき! これから!? 第0話 『トモダチ』 0-3 「……あ」 神姫センターの店員神姫に武装神姫について色々説明してもらった帰り道に、ふと思い出す。 ネットで武装神姫の取扱店を検索した際に、先ほどの神姫センター以外にももう一件あったことを。 今の所からそれほど遠くはない。 少し寄り道する程度の所だ。 わずかに逡巡し、今回はちょっと覗くだけと、その場所に向かう。 「あった」 携帯のナビで特に苦労することなく、もう1つの神姫取扱店に到着する。 ――『おもちゃ屋スターフィールド』 中古品も取り扱い、売買する旨が看板に書かれていた。 薄暗い感じはない。 戸惑わず子どもでも入れる、そんな感じの店だ。 「いらっしゃいませ」「い、いらっしゃい……」 入るとカウンターから声がかけられる。 店内は清掃が行き届いていて清潔で明るい。 近くの棚を見ると、ロボットもののプラモに武器セットが並べられている。 少し奥の方を見ると武装神姫のUSEDコーナーが見える。 行こうとして、ふと気づく。 カウンターに人の姿がない。 「あの、今店長が留守にしているから、あたし達が店番をしています」 「な、なにか御用でしょうか」 よく見ると、カウンターには店の名前が書かれたエプロンらしきものを着た緑髪と黒髪の2体の神姫の姿がある。 黒髪の神姫は何故かメイドさんの衣装を着て、恥ずかしげにしている。 「ええと、ちょっと中古の神姫が見たくて……」 黒髪の神姫があまりにも恥ずかしそうにしているので、何か見てはいけないものを見てしまった気分になる。 少年も少し恥ずかしくなりながら要件を話す。 「……」 緑髪の神姫が黒髪の神姫を少し見やり、一息ため息をつく。 あの様子では接客は無理だろうと判断する。 「あたしが案内します。ハーティア、レジお願い」 「ま、マリーベル。分かったよ」 相方に頼み、マリーベルと呼ばれた緑髪の神姫が少年に向かう。 「お客様、手に乗らせてもらってもいいですか」 「あ、うん、いいよ」 提案に素直に頷き、少年がその手を差し出す。 「失礼します」 一言断りを入れてから、カウンターから一飛びして軽やかに少年の手に乗る。 ■ ■ ■ 「そこを右に曲がった棚が、武装神姫の中古素体の場所です」 誘導に従い、少年は歩を進める。 手の上の神姫を見て、ふと浮かんだ疑問を問いかける。 「……ねえ」 「はい、何ですか?」 手の上の神姫が静かな口調で答える。 「君ってマオチャオ?」 「……そうです。あたしは猫型MMSマオチャオのマリーベル」 答えが簡潔に返ってくる。 「ええと……」 「あたしは他のマオチャオの性格と大きく違うから、お客様が疑問に思うのも当然です」 少年がさらに聞く前に、マリーベルは静かな口調で話す。 その様子は実際に見た、話に聞いたマオチャオという神姫のハイテンションのものとは大きく異なる。 「神姫にも色々います。あたし達みたいな変わり者だって当然いる。……あたし位で驚いていたら、これからもっとびっくりすることになるよー」 最後に基本的なマオチャオの真似をして、冗談っぽくマリーベルが言う。 しかし、表情は少年の知っているマオチャオの元気いっぱい天真爛漫の笑顔ではなく、どちらかといえば少し固く、儚い感じの笑みだ。 その笑みの違いが、少年にも神姫も色々であることを実感させる。 「あ、うん。……よく分かった」 「あ、お客様」 ちょっと考え事をしていると、マリーベルから呼びかけられる。 「通り過ぎてます。USED素体の場所」 「――え?」 そそくさと戻り、少年は武装神姫の中古素体の陳列棚に目を見やる。 「……あ、神姫センターで見た新品のよりすごく安い」 少年の懐具合で考えれば、それでもまだまだお高い値段だ。 しかし、手が届かないほどではない、そんな具合だ。 「神姫センターは基本定価だから。それにこのお値段は武装なしのUSEDですから」 「そうなんだ。えと、買ったら動かないとか、何か問題が起きたりとか、しないよね」 ふと思った疑問をマリーベルに尋ねる。 「ええと、そこは――」 「ソフトもハードもチェック済み。起動しないということはないよ。 保証期間も付いてるから、起動後に何かトラブルがあっても安心。 今なら素体のリペイントサービスもしていて、買ってくれた神姫をお好みの色に染めあげれるよ。 ボス……店長がいれば、起動やユーザー登録などの作業も手伝ってくれるよ。お買い得だね」 「そうなんだ、ありがと……って誰?」 少年の疑問にマリーベルではなく、別の声が答える。 「あ、セラ姉さん」 マリーベルが声かけた方を見ると、そこにロングの青髪の神姫がいた。 その神姫は長袖長裾のゆったりした服を着て、その上に店名が書かれたエプロンを着ていた。 メガネをかけているせいなのか別の理由なのか、少し理知的でどことなく落ち着いたような雰囲気がある。 「悪魔型MMSストラーフのセラフィルフィスだよ。よろしくお客様」 「あ、よろしく」 挨拶されて、少年は思わず挨拶し返す。 「マリーベル朝から店番ありがと。今バッテリー残量少ないでしょ。 お客様、よければあたしがマリーベルの代わりに案内と説明をさせてもらうけど、良いかな」 「あ、うん。いいよ」 少年に了解を求めるセラフィルフィス。 バッテリー残量少ないなら仕方ないよねと了承する。 「でも、あたしまだ――」 「いいから。お客様も了解してくれたし、しっかり一休みしなさい。無理をするのはマリーベルの悪い癖だよ。それに戻って店長に店番したこと褒めてもらいなよ」 優しく諭すようにセラフィルフィスはマリーベルに声をかける。 「分かった。失礼します、お客様」 マリーベルはぺこりと少年にお辞儀をして、手から降りてトテトテと走って去っていく。 そんな様子を少しかわいいな、と思いながら見送る。 「さて、お客様、マリーベルに代わりましてセラフィルフィスがご案内させていただきます。何かお探しのもの、またはお聞きしたいことなどありますでしょうか」 マリーベルを見送ると、セラフィルフィス茶目っ気を入れながら挨拶し、最後にウインクする。 「ああ、うん。そうだねー……」 棚を見やる。 そこには悪魔、天使、犬、猫、侍、騎士、種、花、鳥、人魚、兎、砲、銃火器、イルカ、戦車、飛行機、カブト、クワガタ、蝶などなど様々なものをモチーフにした神姫の素体が並ぶ。 ふと、棚から目を離して通路の奥を見ると、カーテンで仕切られた空間が見える。 「ねえ、あのカーテンで仕切られたところって――」 「あそこは年齢が上の方々のコーナーです。お客様にはまだ早い場所ですから。 それよりも、何かお気になる神姫はありませんか? 今なら、この騎士型や戦車型、セイレーン型なんてお求めやすい価格ですよ」 にこりとやたら丁寧な口調で返され、さらに今のオススメの神姫を紹介される。 「あ、ホントだ。これなら、今まで貯めたお年玉とおこづかいで……。う~ん……」 「気になる娘がいたら、なんでも聞いてね」 値札を見ながら少年は悩む。 棚に戻し、値札を見て、を繰り返す。 時おり、質問をする。 セラフィルフィスはその姿を微笑みながら眺め、対応する。 ■ ■ ■ 「――あ」 気がつくと、窓の外はすっかり赤く染まってしまっている。 思ったより長い間、悩んでいたらしい。 「ごめん、帰らなくちゃ」 急いで帰らないと暗くなってしまうと店を出ようとする。 「あ、色々教えてくれてありがとう」 去り際に少年はセラフィルフィスにお礼を言う。 「どういたしまして。これ保護者同意書。また来てねー」 いつの間にか用意されていた保護者同意書を渡され、少年は見送られる。 出入り口に向かう際にカウンターが見える。 そこには店長と思しき大人の男性と、いつの間にかメイド服からツナギのような服に着替えた黒髪の神姫――教えてもらった通りなら、おそらく犬型MMSのハウリン――の姿があった。 「ありがとうございましたー」「ま、また来いよー」 声をかけられ、店を出る。 (家に戻って、お父さんが帰ってきたら、保護者同意書を書いてもらって、明日――) うきうきと軽い足取りで少年は帰宅する。 ――少年が神姫のマスターになるまであと22時間 前へ / 次へ トップページ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2771.html
注意 このページは、アニメ『武装神姫』のネタバレを含みます(本編のネタバレ? も僅かに)。 お読みになる際には注意してください。 ここは場所や時間に縛られない、言わば神界領域(フリーダムスペース)。 要するに作者がアニメを見た感想やら何やらかんやらを、樹羽、シリア、華凛の3人の談話形式でつらつらと書いていく空間です。 ここでの内容は、本編とは何の関係もありません。 それを踏まえた上で、Are you ok? アニメにおけるエウクランテの立場 「最初からエウクランテ型が出てきたと思ったら完璧に噛ませ犬役でした」 「ああ、うん、確かにそうだったね……」 「いやぁ、戦い方酷かったわねぇ。ボレアスの乱射乙って感じ?」 「撃ちすぎ。集弾率が高い武器をあんなに撃ってもけん制の意味がない」 「むしろ私的にはボレアスがあんな使い方があったことに驚いたんだけど……」 「けん制でばら撒くなら、樹羽の使ってる短機関銃クラスじゃないとだめよねぇ」 「第3話において戦闘開始5秒で退場」 「死亡フラグの破壊力って凄いですよね……」 「いや、あれはそういう問題でとどまらないでしょ。終始残念だし」 「そして第4話ではプレステイルの魔改造」 「樹羽、違うわ。あれはただのアホの子よ」 「もう最後の完走シーンでは泣きました、別の意味で」 結論:アホの子の噛ませ犬 これからの話に関して 「空間に武装を閉まっておくってどんな技術よ」 「とりあえず、あれは2070年ぐらいの話」 「まぁ、あの謎の技術はともかく、ボレアスは参考になりましたよね」 「それはいい、次の話で使わせてもらう」 「くれぐれも、同じような使い方しないでよ?」 「大丈夫、私にはストームがあるし」 「樹羽に限って、ありませんよ」 「そうね、あたしも次回はがんばらないと」 次回:激闘の大会編(予定)
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/25490.html
登録日:2011/10/01(土) 00 27 18 更新日:2024/03/18 Mon 20 41 00 所要時間:約 6 分で読めます ▽タグ一覧 BATTLE_MASTERS NPC もうやだこの国 キャラクター バトマス 一覧項目 武装神姫 登場人物 ここで紹介するのはPSPゲーム「武装神姫BATTLE MASTERS」に登場するNPCキャラクターである。 ゲームの詳細はリンク先の別項に記されているのでそちらをどうぞ。 フィギュアロボット「武装神姫」と共に生活する人々を「マスター」または「武装紳士/淑女」と称する。 彼等は主に神姫を戦わせる為の筐体が置かれたゲームセンターに通い詰めている。 自らの神姫と一体となってバトルの頂点を目指す者、ただひたすら神姫を愛でる者、壮大な野望を抱く者とその様相は色々。 時は2040年。日本のゲームセンターはかつてない熱気に満ちていた。……健全じゃ無い意味で。 ゲームの主役は飽くまで「武装神姫」である為、人間は“外見的”に控え目な描写が施されている。 その為、立ち絵は輪郭だけをかたどった影として描かれており、声も当てられていない。 人間はおまけ。担当声優の巧みな演じ分けが光る個性的なNPC神姫を楽しむゲーム。そう思われていた。 時は2040年。人々はこう述懐する。 「日本のゲームセンターは隔離病棟だ」 このゲームに登場する神姫マスター達、やたら個性が強く、完全に神姫を喰ってしまっている。 一般的に言う「ヲタク」や「駄目人間」は元より、「要介護者」「廃人」はたまた「犯罪者」が跋扈している。 一部を除き皆一様に神姫を愛している者ばかりなのでプレイヤーは一歩引いた目線で温かく見守って欲しい。 柴田勝&柿崎静馬 大半のプレイヤーが最初に戦うであろう少年マスター達。 柴田は、初心者という事もあり良き練習相手となってくれる。相棒は「プルミエ」 柿崎は熱血少年。撃墜とかはしない。相棒は「ナギ」 ゲームに慣れない序盤は彼らをひたすら狩りまくるのが定石。 小早川千歳 主人公のライバルとなる女の子であり、バトルコンテストのF大会でも優勝を争うことになる。 実力と自信共に兼ね備え向上心もある一方、敗北にとらわれる精神の弱さも目立つ。 F2大会で完全に荒みきってしまい、遂には犯罪に手を染めてしまう……。 そんな彼女を相棒「リリス」が懸命に導く。 無印では最終的に警察のお世話になることになるが、Mk.IIで再起を果たすことになる。 津軽冬至 自宅に届く挑戦状を読む事で戦えるマスター。 元F2ランカーだったが一度戦線を離れた。再び闘志に火がついたのか、主人公にリハビリを依頼する。 相棒は「雪華」。ブランクがあるとはいえ、実力は侮れない。 犬童太&三毛屋ベンガル 前者は犬好きの男性で、後者は猫好きの女性。 両者ともにケモテック製神姫(ハウリン&マオチャオ)を溺愛している。 三毛屋は不明だが、犬童はマオチャオ使いを毛嫌いしている模様。 シルバー・クレイ&ダリル・ブレナン 海外からのマスターで友人同士。 シルバーは空手使いのアメリカ人。ダリルはイギリス人で生粋のヲタク。 二人とも神姫バトルにどっぷりハマっている。 真紅女帝(クリムゾンエンペラー) アーク型を使用するレディース(女暴走族)のグループで、三人がかりで主人公に戦いを仕掛ける。 最初のハンディキャップ戦とあって難易度はかなり高く、多くのプレイヤーに煮え湯を飲ませた。 気性の荒い総長、同じく副長、そしてやや反抗気味な見習いという構成。 実はゴスロリ杯に出ている総長。可愛い。 女帝なのにエンペラーとは如何に。まぁ総長可愛さから許す。 因みにこれ、同社がかつて発売したフライトシューティングゲーム「エアフォースデルタ」が元ネタである。 ドグラ・モゲラ ストレス解消のために神姫バトルにのめり込むオカマで、立ち絵のシルエットはアフロの男性。パイルバンカーを装備したフブキ型「菊花」を連れている。 表面上罵り合っているが妙に息の合った彼女らの掛け合いはなかなか微笑ましい。 武器限定の公式戦「スロウバンカー杯」のトリも飾る。よほどパイルが好きと見える。 ↑ ここまでが比較的マトモな方 ここからは魔道 ↓ 給料シーフ&嫁 アーク型神姫「シルファ」と絶賛不倫中の紳士。 惨事嫁の目を逃れ、駅のロッカーに神姫を住まわせて日々通い詰めている。 身も心も神姫に捧げ神姫もまた愛に応えるその姿に、多くのプレイヤーから尊敬のまなざしを集め、製作者インタビューでも「羨ましい」と称賛された。 Mk2で遂に子供が産まれました ……という夢をみたのさ そんな彼の惨事嫁だが、Mk2に登場。 自分の神姫を無理やり賭けバトルに出場させ、稼いだ金で別の男(しかも犯罪者)に貢いでいた。 痴豚 イーダ型神姫「ミランダ」の忠実な下僕。いわばSMの関係を築いている。 どうやったのかは不明だが、自らの神姫に自分を“豚”と呼ばせ罵倒するようプログラムしているらしい。 15センチ程のロボットにしばかれてブヒブヒ言っている男の勇姿ときたら、もうやだこの国。 しかしMk2で遂に痴豚が逆襲に出る ……という夢をみたのさ 練馬大将軍 世界征服を目論む悪の総本山なんていう、壮大な妄想を抱いた只の困ったお爺ちゃん。 そんな彼の戯言を神姫「ミュー」は軽く流しながら手厚く介護してくれる。 神選組 神姫の力で新世界を創造する(?)ため奮闘する三人組。 しかし実際は局長を名乗る女の子と、無理やり付き合わされている他二名といったところ。 上記の目標を掲げるあたり、局長はかなり残念な頭の持ち主。自分で打ったメールを忘れていたり。 音黒野美子 神姫バトルに黒魔術的な要素を取り入れた斬新過ぎるマスター。相棒は「クロミ」 魔術といってもハチミツをぶっかけて呪文唱えてるだけ。 神姫壊れちゃう!!! 「はしかのようなもの」にかかっているらしい。要は中二病患者。 兜茂 特撮、ロボット、美少女を愛する少年の心を持った男。 子供達からの人気は高いが、保護者達からは煙たがられているらしい。 元ネタは仮面ライダーストロンガーで、神姫の名前もまんま「ユリコ」。 埴場怜太 神姫を偏愛する心理を研究しようと自ら神姫「クラリス」のオーナーになりどっぷりハマった残念な大学教授。 まさにミイラとりがミイラである。 勘のいい人なら気付くが元ネタは「羊たちの沈黙」で有名なハンニバル・レクター。 以下、Mk.IIから登場したマスター。 時速30Km 「ひんぬー」をこよなく愛し、自分のツガル型神姫に「和津香(わずか)」と名付ける程。 本人の名前は恐らく風圧の感触の事と思われる。 彼との初バトルする時ハウリンを出すと「貧乳はステータス」とか言っちゃう。キタエリ自重。 魔法使い 30年の年月を経て遂に魔力に目覚めた男。とどのつまり只の童貞。 その能力は「現実を見ない」というもの。 つまり現実逃避。 ベイビーラズ型「美紗緒」の由来は「操(みさお)」 足寄百合香 百合に加え脚フェチまでこじらせた女マスター。 充電と称して神姫「美月」の脚に頬擦りしたりペロペロしたりする。 …この人変態か? ベイビーラズの中の人である平野綾さんの「らめぇええ」が聞けるのである意味貴重? 漆黒の牙 「俺の腕が」とか「契約」とか口走る、絵に描いたような中二病。 自分の神姫をオッドアイにする等妙なこだわりを感じさせる。それどうやってやるの? この他ぶっ飛んだマスター多数。 興味があったら調べてみるのも一興である。 追記・修正お願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] エアフォースデルタのクリムゾンエンペラーって実在機が宇宙に行っちゃうあれじゃないかwwww -- 名無しさん (2014-06-16 21 52 15) そういや変態だらけだったな。パートナーの神姫も声優と見た目が一緒なのにキャラが違うから面白かった -- 名無しさん (2016-08-03 12 42 57) でも実際に神姫発売されたら魔道に落ちる自信あるわ -- 名無しさん (2016-08-03 12 46 12) 給料シーフは双方の為にも慰謝料どんだけ払ってでもさっさと離婚した方がいい -- 名無しさん (2017-04-20 17 34 11) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/786.html
煌く粒子を撒き散らしながら、『ルシフェル』が天を舞う 空中戦に特化した『ウインダム』を、速度でも運動性でも装甲でも火力でも上回るその様は、決して単純に高級パーツを組み合わせただけではない 鶴畑興紀の調整能力の確かさと、的確な指示、地味だが効率的な『ルシフェル』自身の錬度も含めた、重厚で実のある強さだった 『ウインダム』自身は知らないが、「最強の武装神姫」を目指して敗北した神姫からデータを奪い、次なる『ルシフェル』に移植するという件の非情な行為迄含めて 隙の無さこそが鶴畑興紀と『ルシフェル』の強さの秘訣であった そしてその「取り付くしまも無い」感じが、『ルシフェル』自身のソリッドな印象と相俟って、かなりのファンの心を掴んでいるのも確かだった まさに今、ルシフェルに追いすがられている『ウインダム』自身がルシフェルのいちファンであり、彼女の機械的な振る舞いと言うのは、その実ミーハーなファンがアイドルのコスチュームを真似するのとなんら変わる所は無かった 鳳凰杯編 「幽鬼と魔王」 内心の動揺と高揚を表情に出さない程度には、ウインダムの『真似』は徹底していた それは、彼女より格下の神姫相手にとっては、次手が読めない不気味さと威圧感をもたらしもしたが、明らかに格上であり、しかもその模倣のオリジナルでもあるルシフェルからしてみればお笑い種を通り越して既に怒りすら禁じえないものであった (誰が好き好んでその様に振舞っていると・・・!?) 無論、口に出しもしなければ表情にも表しはしない その事で後々質問されるのも言い寄られるのも面倒だ ルシフェルは無駄と面倒を嫌う それは今迄破棄されてきた幾多のルシフェルに染み付いて来た鶴畑興紀の思想と言うよりは、『今、このルシフェル』となったストラーフの個性だった 例え内心でどう思っていようが、破棄されるよりは従順な僕であろうとする性質は、武装神姫らしいといえばらしいが、人間的といえば限りなく人間的でもある 故に、劣化コピーの存在を快く思わないのも止む無き事だった ごう!とまた一段と距離が詰まる。速度で勝り、バランスも悪くない以上、パーツ単位での性能ならば公式装備ばかりのウインダムより遥かに上なのは明白であった 今回のバトルに併せて、ルシフェルには地上戦装備は最低限しか装備されていない。そして、大柄な翼とゴツゴツした鞭状の武器、凶悪な爪を備えた「サバーカ」を装備した姿は、『ルシフェル』というよりは『サタン=アポカリプスドラゴン』を連想させるものだった サイドボード迄含めて、バトル毎に全て切り替えるのが鶴畑興紀の戦略であり、それらを全て使いこなして見せるのがルシフェルに求められる資質であった その戦略は『クイントス』と同様のものだが、パーツの質に於いて圧倒的に優秀であり、鶴畑興紀のパーツ選択のセンスも、流石はファーストランカーと言う他無かった 高速機動武装神姫にしか不可能なマニューバをいくつもこなしながら、二重螺旋状に上昇してゆく二体の神姫 だが、そのらせんは徐々に先細り、両者の距離が10smを切る頃には、ウインダムのSMGの弾丸も尽きていた 『頃合だな・・・仕掛けろ、ルシフェル』 命令と共に機銃を捨て、急接近して鞭を振るうルシフェル 急制動に回避が間に合わず、あえなく絡め取られるウインダム がきぃんっ!! 遅れて、片脚の爪がウインダムの細い腰を掴む この一瞬の格闘攻撃を確実にヒットさせる為に、速度を調整して追い抜かず、離されずの間合いを計ったのだ 『チェックメイトだ』 鞭とのバランス取りも兼ねて手首に装備されていた槍剣が、ウインダムの喉を貫いた 「いやいや、最近はサードやセカンドにも優秀な武装神姫が増えて来ていて、私も少し油断すれば危なかったかも知れないですね」 無数のカメラに囲まれながら謙遜を口にする興紀は、いつもの「貴公子」の顔だった この種の下級ランカーに対する激励リップサービスは彼のいつもの事でもあったし、「強さの求道者」として知られる場合の彼ともそうブレるものでもなかった 要するに、スターとしての資質を、彼は充分に備えているのだ 一通りのインタビューの合間に、ルシフェルと言葉を交わしたウインダムも、普段の「人形がましさ」を維持出来ずに、半ば舞い上がっているのが傍目にも明らかだった 当然、それよりもさらにこういった場に慣れない深町昭は尚更だった (馬鹿馬鹿しい) わざとらしい握手をかわすマスターふたりから目を逸らしたルシフェルは、その視界の隅に奇妙な男を見かけた 何故奇妙と感じたのか、その種の直感をあまり是としないルシフェルには、後々になるまでその理由は判らなかったが、兎角野心に満ち満ちた目をしている事だけは、その時点で既に判った 報道陣が去った後に、残されたその男が取り巻きをすり抜ける様に興紀に迫った時に、その表情にあった不敵な笑みが、興紀に媚を売るやからとは違う、一種の迫力を生み出すのに一役買っていた 「見事ですね、流石は鶴畑興紀と『ルシフェル』だ」 一瞬、興紀の顔に浮かんだ驚愕の色を、ルシフェルは見逃さなかった 「・・・馬鹿な・・・!?」 「お久し振りです。そちらも変わりなくご健勝のようで何より」 「貴様・・・性懲りも無くまだ生きていたか」 「おっしゃる意味が判りませんな、私は別に一度も死んだ事はありませんが?」 見つめ合う二人の男。その間にある緊張感を、ルシフェルはあまり愉快なものと取らなかった 「ご安心下さい。貴方がたが抜けられても、G計画は順調に進行していますよ・・・まぁ今声を掛けたのは偶然見かけたからであって、進捗状況を示すサンプルも何も持って来てはいませんがね」 「!!」 「今は皆川彰人という名で生活しております。貴方がたのご好意を持ちまして店のほうも順調ですよ」 「ではまたの機会に・・・」 「・・・亡霊め」 去ってゆく男の後姿を見送って、興紀は一言だけ漏らし、後は普段の「冷酷」な顔に戻った (亡霊・・・?) その言葉の響きに、ルシフェルはらしくないうすら寒さを感じていた 剣は紅い花の誇り 鳳凰杯・まとめページ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2863.html
中学を卒業し、春休み兼高校への準備期間といったところの3月。 卒業後の3月というのは夏休み並に長い休みとなり、宿題もないため基本的に卒業生は皆遊び呆ける期間ということになる。 「ゲーム『グラディウス』でプレイヤーが操る……ビックバイパー、と……」 そしてその時期にこの少年は学校の準備など忘れ、ゲームセンターでクイズゲームにかまけていた。 「……あっ」 『残念だけどここでお別れだー、また会おう!』 画面の中の先生から告げられる予選敗退の言葉。 『こんな時だってあるさ! さあもう一度!』 「……悔しいけど仕方ないか」 荷物を纏め、ゲームセンターから退店しようとする。 が、そこで少年はある人だかりを目にする。 「……?」 人間、人だかりがあると寄ってみたくなるものである。 少年もその例にもれず、その人だかりの方へ行く。 「何かな、この人だかり……?」 少年は同年代の少年達と比べると背が高い方であり、すこし背を伸ばしただけで人だかりの向こう側は見ることができた。 「ん……」 もう少し背を伸ばすと、人だかりの中心にある筐体に書かれた文字が目に入った。 「……武装神姫?」 どうやら筐体の中で少女たちが戦っているようである。 が、それ以上は事前情報も何もないため分からなかった。 「何をしている?」 「えっ?」 背伸びの最中に少年は声を掛けられる、振り返ってみるとそこには友人の顔があった。 「……櫻庭君?」 少年の友人の名前は櫻庭(さくらば)遊理(ユウリ)。 少年の一番の親友で中学までは一緒であったのだが、高校は別々となってしまったので、日常的に会うことはなくなってしまうのである。 無論、今のように地元で会うことは多いのであろうが。 「いや、人だかりができてたから…… でも奇遇だね、こんな所で何をしてるの?」 「いやまあ……ちょっとな。 お前は……」 「まあ、いつも通りマジアカをちょっと……」 マジアカ、コナミのクイズゲーム、クイズマジックアカデミーの略である。 「「「おおおおおお!!」」」 そんなことを話していると、人だかりの方から歓声が沸く。 「……何?」 「悪いな、通してもらえるか?」 「ああうん……え? 櫻庭君って……えっと、この人だかりができてる何かに興味があるの?」 「ん……まあな」 『マスター、もう付いたのか?』 「ああ、いや……」 遊里のバッグから、褐色肌の小さな少女が顔をのぞかせた。 「……なにそれ?」 少年は少女をみて、おそらくこの少女の所有者であろう友人に聞く。 それに対し友人ははぁ、とため息をつい少年に話した。 「武装神姫、聞いたことないか?」 「ええと、な……」 ない、そう即答しようとする。 しかし少年は以前、どこかで武装神姫という文字を見たことがあるような気がした。 が、思い出すことはできなかった。 「どうした?」 「いや……ないよ、聞いたことは」 聞いたことはない、嘘は言っていない。 見た気がするだけなのだから。 「そうか、まあ……簡単にいえば、着せ替えて戦うロボットアクションフィギュアだ」 「へえ……ロボットなの?」 少年は遊里のバッグから顔を出している小さな少女の方を見る。 「じゃあ、この子も?」 体を屈めて、少女に顔を向ける。 『マスター、誰だこいつ?』 「俺の友人だ、後で紹介する」 「すごい、喋った」 最近のロボットの技術はここまで進歩していたのか、と少年は感心する。 「……でもなんか、高そうだね」 「まあ、ちょっといいパソコンが買える程度の値段はするな」 その「ちょっといいパソコン」を持っている少年からすると、その値段は容易に想像できた。 「……良く買ってもらえたね」 「まあ、合格祝いにな」 『マスター、そんな事話してていいのか? 終わっちまうぞ!』 「ああ、そうだな。 そうだ、お前も見ていくか?」 「いや……いいよ、今日は日が悪いや」 マジアカを折角プレイしに来たものの、予選敗退となり少々落ち込んでいるようである。 「そうか、ならいいさ。 劫火、行くぞ」 『おう!』 遊里はその少女と共に人ごみの中へ消えていった。 「……武装神姫、か」 (そう、僕はこの時、こんなものに興味は持っていなかった。 ……かわいいとは思うけど、数ある萌えキャラ系コンテンツの一つだと思っていた。 でも、この後あらゆる意味で意外な形で、意外な広い交友関係を持ち、意外な事件に巻き込まれていくことになるなんて…… 今の僕には、知る由もなかった) 「ただいま」 少年は帰宅早々、誰もいない家に告げる。 この少年の親は共働きであり、あまり家に帰っては来ないのである。 「ん?」 見慣れない箱が届いている。 「……なんだろう、これ」 そう言いながら箱に書かれている商品名を見る。 「え……」 今日3月26日は予約していたゲームの発売日、 コ○ミスタイルでの予約なので、今日はお届けの日、ずっと待ちわびていた日であった、筈なのだが…… 「……ああ、そうか。 今日はもう26日だったか……」 ずっと前に予約していたのだが、受験等いろいろあって忘れてたようである。 「『ハヤテのごとく!! ナイトメアパラダイス豪華版』。 本当に何故かかなり高かったけど……」 そう、この少年はハヤテのごとく!の大ファンである。 ハヤテのごとく!の主人公、『綾崎(あやさき)ハヤテ』の姿に憧れたのがきっかけでその作品を愛するようになったのである。 もっとも、この少年をオタクの世界へ橋渡ししてしまった作品でもあるのだが。 「……なら、さっそく!」 少年は予選敗退で落ち込んでいることも忘れ、その箱を抱え階段をものすごい勢いで駆け上がる。 二階の自分の部屋の扉を開けると、机の上のPSPを持ち出してベッドの上に座り込んだ。 「PSPよし、充電器もよし、箱の状態もよし……」 さながら一世代前の教習所のビデオのようにわざとらしく指差し確認をする。 「それにしてもゲームソフトにしては大きな箱だな。 それだけ特典が豪華なのかな……やっぱり、凄く高かったし」 特別版ということは、予約特典、早期購入特典が多数付いているということである。 彼は特に特典の内容は気にせず、コナミスタイル販売限定の一番高い物をとりあえず予約したのだ。 『ハヤテのごとく!』の大ファンという理由だけで。 「……それじゃあ、オープン!!」 満を持してその箱を開け。 「うぉぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」 中身を確認し、必要以上のリアクションをとる。 「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…… ……え?」 箱の中身を見た彼は必要以上のリアクション以上に驚きを隠せない様子を見せた。 何かが足り無かったわけでもなく、内容がそれほどでもなく拍子抜けしたわけでもない。 その中に、予想外の物が入っていたからだ。 「これって……まさか?」 箱の右側に収まっているゲームソフトへの興味はどこへやら。 左側に収まっている箱を手に取り、上下左右裏表、箱の外装をすみずみまで見回し、彼は静かに口を開く。 「武装……神姫?」 それはまぎれもなく、武装神姫だったのである。 「このパッケージ絵って……」 金髪ツインテール、ツリ目のライトグリーンの瞳。 そして、白皇学院の制服を模したカラーリングの素体。 少年にはそれに描かれている少女が誰か、一目で分かった。 「ナギ……?」 ナギ、ハヤテのごとく!のメインヒロインの名前である。 その武装神姫のパッケージに描かれていたのは、ハヤテのごとく!のヒロイン、三千院(さんぜんいん) ナギその人だった。 「武装神姫……ナギ……!?」 驚きのあまり、再び声が出なくなった。 そして、ようやく理解した。 ナギのフィギュア付属が付属するというコナミスタイル販売限定豪華版だけが、異常に高かった理由が。 「ちょっといいパソコンが買える値段」である、武装神姫が付属するのならば、それは高くなるわけである。 そしてこの時やっと思い出したのだ『武装神姫』という単語をどこで見たのか。 その場所は、彼がこの度予約したゲーム、『ハヤテのごとく!!ナイトメアパラダイス』の公式サイト及びコナミスタイルに書いてあった、 『コナミスタイル「武装神姫ナギ」付き豪華セット』という文字だったのである。 「……」 彼はゲームは基本初見プレイ派なので、公式サイトには通わなかったために、ゲームの予約以来目にすることがなかったのだ。 「……これでいいのかな? よくわからないけど……」 待ちわびていたはずのゲームソフトには手をつけず、ナギの箱を開封し、起動に手間取っている彼の姿がそこにあった。 やっとのことで設定は終わり、あとは起動させるだけである。 『お嬢様型ナギ。 セットアップ完了、起動します』 「え……もう? 起動するの? 本当に?」 驚いているうちに、その少女は金髪のツインテールをなびかせ、ライトグリーンの瞳を開きながらゆっくりと起き上がる。 『ん……』 その少女は目を閉じて背伸びをした。 「わぁ……!」 『……おぉ……お?』 その金髪ツインテールの小さな少女は眠たげな目こすりながら、『マスター』の方を向く。 「う……動いた……!!」 『……当然だ、動くぞ、神姫なのだから』 「……そ、そう、だよね」 聞きなれているツンデレ系ヒロインの鉄板である釘宮理恵ボイスが部屋に響く。 今さっき起動した金髪ツインテールの少女がツンデレボイスで、マスターだけに話しかけている。 アニメのように『綾崎 ハヤテ』やその他キャラクターや、全国の視聴者に向けてではなく。 (ナギが僕だけに話しかけてくれている) 感動で胸が打ち震えた。 事前情報がなかった分、特に。 『……問おう。 お前が、私のマスターか?』 「え?」 ハヤテのごとく!特有のジト目を少年に向けながら、別のアニメの名台詞を言う。 二人称は変わっているが。 「……はい、かな?」 『……おい、もうちょっと乗れよ』 「い、いや、あのアニメは見てなくて……」 『途中で切るなよ、アニメは自ら全て見て初めて評価をするのだ』 「……ごもっともです」 別に視聴を切ったわけではないが。 『む……』 少女渾身の目覚めのあいさつを躱されたせいか、少女の顔が明らかに不機嫌になったのが分かった。 『なんだか、あまり歓迎されていないように感じるのだが。 なんだ? もしや転バイヤーか? 起動して問題がなかったらリセットして売り飛ばすつもりか? ならば残念ながら未開封のほうが高かったと思うぞ』 「い、いや、生まれてこの方僕は転売なんてしたことないけど」 この少年はダブったトレーディングカードを売ったことすらないのである。 「その……驚いたから」 『驚いた?』 「うん……神姫を手に入れるつもりなんてなかったから…… まさか、ゲームの特別版の特典で付いてくるなんて」 『……なんだ、公式サイトを見ていないのか? ちゃんと神姫ナギが付属すると書いてあったと思うのだが』 「……はい、確かに書いてあったんですけれども」 公式サイト及びコナミスタイルで予約時に二目見て以来今まで忘れていた、とは言えないわけである。 「その、僕予約の内容とか気にせずに予約するから」 『……』 その言葉を聞いて、少女は顔を背ける。 『それでは私が傷つくではないか……』 「え、え?」 『だってお前は、私を心からは必要としていないんだろう?』 神姫というものは基本的には買った人に必要とされているからこそその人の下へ行くのであるが、 この少年の場合は『武装神姫ナギ』が付属することを知らなかったわけである。 捉えようによっては、必要とされていない、とも感じてしまうかもしれない。 「そ、そんなことないよ! えっと……お、お嬢様?」 『ん、お嬢様?』 「だって君はナギなんでしょ? だからお嬢様」 この神姫である少女の元となった人物、ハヤテのごとく!のヒロイン、三千院 ナギは圧倒的材力を持つお嬢様、という設定である。 『あぁ、そういえば設定がまだだったな』 「え、せ、設定?」 『……神姫を手に入れる予定がなかったのなら知るわけがないな。 仕方ない、教えてやろう、まず私のマスター……つまりお前のことを私がどう呼ぶかを決めるのだ』 「ま、マスター……」 『あぁ、マスターになる気はないのだったか? 別になりたくないのならいいぞ、誰かハヤテ好きの知り合いにでも引き取ってもらえ。 それかやっぱりヤ○オクにでも出したらどうだ、私としても私を落札してくれるなら大事にしてくれるだろうからな』 「い、いや、なります! えっと、僕、ハヤテのごとく!が大好きですから!」 『……そうか。 その言葉に、嘘はないな?』 「ありません!! 絶対に!」 『……ほう』 「……」 少年は15年間生きてきて中で一番今までになく真剣な目を少女に向けて言った。 『ならばお前は。 私とハヤテの出会った時の、ハヤテの告白のシーンを一字一句言えるのか?』 「……」 沈黙が走る。 目を閉じて、息を整えた。 『まあ、流石にそれは冗談……』 少女が言い切る前に少年はゆっくりと目を開け、口を開く。 「僕と…付き合ってくれないか?」 『へ?』 少女に確認をとる間もなく、それを演じ始める。 「僕は君が欲しいんだ」 『なっ……』 真剣さが伝わる。 先ほどとはまるで違う気迫に、思わず後ずさりをしてしまうほど。 「わかってるさ!! だがこっちだって本気だ!!」 『……』 その真剣な眼差しに思わず彼女は…… 『で…でも!』 そのシーンのナギの役を、無言で引き受けた。 「こんな事、冗談じゃ言わない…」 吐息のかかる距離。 完全に役にのめり込む二人。 「命懸けさ…… 一目見た瞬間から… 君を…」 犯罪者の目。 ……をするハヤテを完璧に演じる。 「君をさらうと決めていた。」 『………………』 「………………」 二人はしばらく見つめあう。 そして、『ナギ』は口を開いた。 『本気の想い…… 伝わったぞ』 「…… シャキーン」 『擬音まで言わんでいい』 「……ごめん」 『……フ』 少女は笑顔で『ハヤテ』に言う。 『合格だ。 お前の想いは本物だな』 少年も笑顔になり、少女に言う。 「君に合格をもらえるなんて……光栄だな」 『私も、お前がマスターならば安心できそうだ。 さっきの言葉は撤回しよう』 「……ありがとう」 ハヤテのごとく!を好きでよかった。 少女の言葉を聞き、少年は心からそう思った。 『では、続けよう。 なんと呼んでほしい?ご褒美にできるだけ希望に応えてやるぞ』 「呼び方……か」 なんて呼んで欲しい? 少年はそう言われたのは初めてだ。 「……ピンと来ないよ」 おそらく、それが普通である。 「例えば、どんなの?」 『そうだな、普通ならば「マスター」やら、お前の名前やら。 それとも「私の執事」、とでも呼ぼうか。 そうだ「バカ犬」でもいいぞ。 望むなら「兄さん」とも呼んでやらないこともないが』 バカ犬、兄さん。 どちらもハヤテとは関係のない作品である。 声を当てている声優は同じであるが。 その縁でハヤテのごとく!でネタにされたこともある。 『……推奨は全くしないが、「下僕」やら、「豚」やら、「そこのお前」、「そこの人」でも』 「……普通に僕の名前で」 ナギの姿の少女にバカ犬およびほかの呼び方で呼ばれても違和感しかない、とハヤテは考えた。 きっとそれはハヤテのごとく!よりとらドラ!やゼロの使い魔がのほうが好きな人でも同じことであろう。 『まあそれが無難だな。 では……あ』 少女は何かを思い出したように、話を中断し口が空いたままにした。 『そういえば、名前を聞いていなかったな。 お前、名前は?』 「名前……僕の?」 『そうだ、どうした、早く言うがいい』 「うん……僕の名前は」 吐息のかからない距離。 机の上の少女の眼を真っ直ぐと見て、少年はその名を言う。 「ハヤテ」 『え?』 「鷹峰(たかみね) 颯(ハヤテ)。 僕が憧れた君の執事と……同じ名前だ」 ハヤテのごとく!の主人公、綾崎ハヤテはヒロインである三千院ナギの執事という設定である。 その、自身と同名の『綾崎ハヤテ』の、何があっても、どんな不幸があっても挫けずに立ち向かっていく『ハヤテ』の姿に。 『ハヤテ』にハヤテは憧れた。 『ハヤテ』の勇姿を見た瞬間……彼はハヤテのごとく!のファンになったのだ。 『ハヤテ……か……お前……』 「ん?」 『……まさか名前を詐称などしていないだろうな?』 「してない! ええい!! だったらこれを見よ!」 ハヤテは生徒手帳を取り出し、個人情報の乗っているページを見せた。 まだ高校に入学していないため、中学時代の生徒手帳であるが。 『おぉ……!! こ……これは……!!』 「ふふん」 『随分と無愛想な顔の写真だな』 「君に言われたくないし見るべきところはそこじゃない! それにその時は眠かっただけ!」 『おぉー、本当に名前はハヤテではないか!!』 「だから最初っからそう言ってるじゃない! ……流石に苗字は綾崎じゃないけどね」 ちなみに『綾崎』及び『三千院』という苗字は実在しないそうである。 『まあ、ならばいいのだ。 なんというか、呼びやすくて良い』 「それは……よかった」 『では、次は私の名前だ。 いい名前をつけるのだぞ、一生物なのだからな』 「え?」 名前。 (この少女に付ける名前なんて一つしかない) ハヤテはそう思うのだが、一応聞き返す。 「ナギじゃ……だめなの?」 『いいや、ダメではない。 だが、ゲームでもデフォルトネームと言うものがよくあるだろう? 私で言えば「ナギ」はデフォルトネームなのだ、別に変えてもかまわないぞ。 別に魔法少女モノが好きならフェイトと呼んでくれてもいいし、全く関係ない名前をつけても構わないのだ』 (あぁ、そういう事なんだ) しかし、ハヤテにとってはこの少女を『ナギ』以外の名前で見ることはできなかった。 「でもやっぱりナギはナギじゃないと……しっくり来ないな」 『そうだな、キャラクターの名前を勝手に変えてプレイすると違和感があることもある。 それはそれで懸命な判断だな』 「そ、それはどうも……」 『ということは、私の名前は「ナギ」でいいんだな?』 「うん、もちろん」 『わかった、それじゃあ私の名はナギだ。 よろしく頼むよ、ハヤテ』 ナギはハヤテに向かって微笑んだ。 「う……!」 その笑顔にハヤテは思わずキュンとしてしまった。 この瞬間、ハヤテの中でナギの株が鰻登りだったことは言うまでもない。 『ところで、早速だが私は疲れた。 クレイドルを出してくれ』 「……」 『……おい、ハヤテ?』 「えっ? あ、あぁ、はい、何?」 『……クレイドルを出せと言っているのだ』 「ク、クレイドル?」 『私の入っていた箱に一緒に入っていなかったか?』 その言葉を聞いて、ハヤテは箱の中を探す。 すると、比較的大きめな白い物体を見つけた。 「えっと、これ?」 それを取り出してナギに見せつける。 『おぉ、それだそれだ!』 ナギは早く早く、と言わんばかりにクレイドルに向かって両手を伸ばしている。 「えっと、どう設定すればいいの?」 『適当に組み上げてUSBのケーブルをパソコンに差し込めばいい』 (大雑把すぎるって……) そう思いつつもハヤテはナギのために設定をする。 パソコンにUSBケーブルをつなげるという組み上げると言っていいのかわからないほど短い手順であったが。 「……組み上げた(?)けど」 パッと見ハヤテには、この物体の正体が何かわからなかった。 「これ、何?」 『簡単に言ってしまえば、充電器だ』 (これで充電器なんだ) 「でもこれ……どうやって充電するの? ナギにこれのどこかにある何かを差し込めばいいの?」 『いいや』 ナギはクレイドルの上に乗り、それに横たわりながら言う。 『この上で寝ていれば、勝手に充電されるのだ』 「……へぇ」 (最近の充電器って、進歩してるなぁ) そう思いながらハヤテは呟く。 「……科学の力ってすげー」 『まぁというわけで私は寝るぞ、起動したばかりでエネルギーが少ないのだ。 夜には充電が終わるはずだ、話なら後にしてくれ』 「え、あ、あの……」 『Zzz……』 ハヤテが止める間もなく、ナギはクレイドルで眠りについてしまった。 「……」 ナギの寝顔を見ながら、ハヤテは呟く。 「武装神姫……か」 ひょんなことから神姫のマスターになってしまった少年、鷹峰ハヤテ。 これは、ナギや友人とともに駆け抜けた、ハヤテの激動の高校生活を綴る物語である。 プロローグ 「悪夢の楽園より」 完 次回『ナギのごとく!』 『学校……お前、ニートじゃなかったのか』 ハヤテ「あくまで、執事ですから……」
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2103.html
ウサギのナミダ ACT 0-1 □ あいつと初めて会った日のことは、いまでも覚えている。 あれは師走の寒い晩のこと。 冷たい雨がしとしとと降り続ける夜だった。 全く俺らしくない考えだが、信じている。 あれは運命の出会いだった、と。 大学の仲間と飲んだあと、アパートに戻る帰り道。 俺は一人、雨の中を歩いていた。 あまりたくさん飲んだわけでもないので、少しほろ酔いだった。 気心知れた連中との飲み会だったので、無理な酒を飲まされないのはありがたい。 いつもよりも遅い帰り、近道をすべく、繁華街の裏道を歩く。 いかがわしい店もならぶところだが、そこはそれなりに田舎だから、それほど危険を感じない。 まして冷たい雨が落ちている夜はなおさらである。 冬の雨の冷たさに、酔いに火照った身体は徐々に冷え始めている。 息が白い。 寒さで頭が冴え始めているのを感じながら、俺は少し足を早めた。 そのときだ。 左奥の路地から、息を切らした太った男が飛び出してきた。 この雨にも関わらず、傘をさしていない。 男は、一度左右を見渡すと、 「ちぃっ!」 舌打ちをして、手に持っていたモノを、電柱に叩きつけた。電柱に激突したそれは、下に置かれていたゴミの山に落ちた。 「お、おまえのせいで……何でボクがこんな目に……」 とかなんとか呟いていたようだが、よく聞こえなかった。 男は俺に注意を払うこともなく、俺が進む道の奥へと駈けだしていった。 いつもの俺なら、そんなアブナイ行動をしている男など無視していたし、その男が捨てたモノに注意も払わなかったろう。 だが、そのときは知らず酒が回っていたのだろうか。 俺はそのゴミ置き場をながめつつ、通り過ぎようとした。 パタパタと雨をはじくポリ袋の上から、小さなうめき声が聞こえてきた。 女の声だ。 俺の頭に、奇妙な確信が浮かぶ。 さっきの、太った男が捨てたモノ。 それはきっと……アレにちがいない。 俺が今、一番興味を持っているもの。 俺は見るともなしに、ゴミ置き場をのぞき込む。 はたしてそこには、一人の少女が、目を閉じてうめいていた。 少女と言っても、人間じゃない。 神姫だ。15cmのフィギュアロボ。 彼女は、力無く四肢を投げ出し、弱々しくうめいている。 いったい何のタイプだろうか? 裏道の街灯は薄暗くてよくわからない。 ただ、少し苦しげな表情のその顔は、マスモデルにはないタイプで……可憐だった。 俺はそっと彼女をすくい上げると、ポケットからハンカチを取り出してくるんだ。 神姫はなんの反応もなく、ただ時々小さくうめくばかりだ。 俺はそっとカバンに入れようと思ったが、先ほどの路地から激しい靴音が聞こえてきて、思わずハンカチにくるんだ神姫をジャンパーの内ポケットにつっこんだ。 路地から飛び出してきたのは、数人の男だった。 やっぱり傘はさしていない。 男たちは派手なスーツを着ており、一目でそれっぽい職業だとわかる。 彼らはきょろきょろと辺りを見回す。一人が俺に近づいてきた。 「なあ、ちょっと尋ねるが……」 「な、なんですか?」 あえてうわずった口調で答える俺。 「ここに、太った黒縁メガネの男が走ってこなかったか?」 「……それならいまさっき、あっちに……」 俺はさっきの男が走り去った方の道を指さした。 「そうか、ありがとよ。……おい!」 俺に話しかけた男は、仲間たちに指示をとばす。 俺が指さした方の道に複数のグループを行かせ、俺の来た方向と、右手の路地に一人ずつ行かせた。 なかなかに組織だった動きだ。 男たちはもう、俺には目もくれなかった。 俺は念のため、太った男が走っていった道は使わず、右手の路地に入って、いったん大通りに出る。 アパートまでは少し遠回りになるが、人混みに紛れ込める。連中と関わらなくてすむだろう。 太った男とスーツ姿の男たちのもめ事の原因は、明らかに俺のジャンパーの内ポケットに入っている。 何があったかは知らないが、余計な揉め事には巻き込まれたくない。 たとえその原因を俺が持っているのだとしても。 もう、先ほどの神姫を手放す気にはなれなかった。 こういうのも、運命の出会いというのだろうか? いままで、たくさんの武装神姫の製品を見てきたけれど、いまほど胸が高鳴ることはなかった。 ずっと探していた。そして今夜見つけたのだ。 ただ一人、俺が夢中になれる神姫を。 冬の雨の寒さを忘れてしまうほど、俺は胸を高鳴らせ、アパートへの帰り道を急いだ。 俺の名前は遠野貴樹。 理工系の大学に通う学生だ。 武装神姫には前から興味があった。 高校時代からの友人の一人が、神姫にどっぷりとハマっている。 そいつと神姫の仲の良さを見るにつけ、他の仲間たちはからかいながらも少しうらやましく、興味深く見ていた。 俺も例外ではなかった。 仲間の数人は、もう武装神姫を始めている。 俺も始めようと思い立ったのは仲間内でも早い方だったが、いまや神姫のマスターでない仲間の方が少なくなった。 なぜ俺が武装神姫を始めなかったのか。 いなかったのだ。気に入った神姫が。 あちこちの神姫ショップも回ったし、新製品が発表になるショーにも足を運んだし、定期的にネットオークションもチェックしている。 それでも、俺がパートナーにしたいと思う神姫はいなかったのだった。 アパートに帰った俺は、カバンをおろすと、上着に付いた雨粒を落とすのももどかしく、ジャンパーの上着からハンカチに包まれた神姫を取り出した。 テーブルの上にそっと横たえ、ハンカチを開いてみる。 そこには、ほっそりとした少女の裸身があった。 あわてて目をそらしたが、すぐに目は神姫に釘付けになった。 俺がいままで見た神姫とは、明らかに違う。間接部が皮膚に覆われていて、やたらと人間らしく見える。 顔はやはり既製品の物ではない。カスタムだろうか? 少し幼い感じの顔立ちが、いまは疲れきったような表情で、静かに目を閉じている。 頭にはウサギの耳らしき意匠……つまりこの神姫はバニーガールなのだろうか。 そして、なにより俺の目を離さないのは、ねじくれたように折れている手足だった。 まともなのは右腕だけで、左腕と両脚は間接ではないところで不自然に曲がっていた。 いま、この神姫は死んだように動かない。 本当に死んでしまったのではないだろうか? もう二度と動かないのではないだろうか? 冗談じゃない。 やっと自分がほしいと思った神姫に出会えたというのに! そのときのあわてふためきぶりは、他人に見られなくてよかったと思う。 いつも冷静沈着でうっている俺のキャラとあきらかに違っていた。 俺は乱暴に携帯電話を取り出すと、アドレス帳を呼び出すキー入力すらもどかしく、一人の友人の電話番号を呼び出した。 電話をかける。えらく長く感じたコール三回で相手が出た。 『はい、海藤で』 「海藤か!? 聞きたいことがある!」 海藤曰く、このときの電話は俺だとは一瞬信じられなかったそうだ。 だが、人のいい海藤は、一方的に用件をまくし立てる俺に対して、丁寧に受け答えしてくれた。 海藤仁は、仲間内で一番武装神姫に詳しい奴だ。 さきほど神姫を拾った旨と現在の状況をかいつまんで説明し、どうすればいいのかと俺は聞いた。 『ああ、それは単なるバッテリー切れじゃないかな、たぶん』 「バッテリー? そうか、なら、充電するにはどうすればいい?」 『神姫用のクレイドルを使うんだ』 こんな基本的な質問をしているあたり、俺がいかにあわてていたかの証明である。 「どこかで売ってるか? ……バラで」 『各社からいろんなのが出てるよ。神姫扱ってるところなら、たいがい売ってるね』 時計を見る。午後8時半。 自転車をとばせば、最寄りの家電量販店の閉店前に間に合うはずだ。 「わかった。これからクレイドル買ってくる。また連絡する」 それだけ言い放って、俺は電話を切った。 そのまま玄関へ向かう。 まだ俺は帰ってきたときのまま、ジャンパーすら脱いでいなかった。 外は雨。 それでも俺は自転車の鍵を手にすると、アパートを出た。 傘をさしながらの自転車の夜間運転。 正直、自殺行為だ。 だが、そのときの俺は何かすごい衝動につき動かされ、とにかく、あの神姫を動かすことが一番大事なことだと思っていた。 俺は降りしきる雨の中、ペダルをこぎだした。 次へ> トップページに戻る